最少の時間で成果を最大にする方法~エッセンシャル思考から学ぶ
自分が『正しい』と思うことと、誰かが「やれ」と言うことが、食い違っていた経験はあるでしょうか。
心の中で違うと思いながら、仕方なく行動したことは?
他人の顔色をうかがい、場を丸くおさめるためにイエスと言ったことは?
上司や同僚、友人、親戚、近所の人などの誘いを、断るのが怖くて引き受けてしまったことは?
きっと思い当たることがあるはずです。
他人からのプレッシャーに負けず、きっぱりと上手に断ることは、自分の人生を生きることにつながります。
もしも選択の権利を放棄するなら、他人があなたの人生を決めることになります。
自分で「これを捨てる」と決めなければ、誰かがあなたの大切なものを捨ててしまいます。
人生の目的が明確でなければ
目的が明確でないとき、人はどうでもいいことに時間とエネルギーを浪費します。
その弊害は大きく2つのパターンとして表れます。
- 社内政治が蔓延する
まず最初のパターンとして、上司の気を引くための社内政治が蔓延することが挙げられます。
仕事のゴールが見えず、どうすれば勝てるかもわからないので、「上司の観心を買う」という不毛なゲームに逃げ込んでしまうのです。
その結果、本来なら仕事に注ぐはずの時間とエネルギーは、表面的な自己演出やご機嫌取り
に費やされます。
不要なだけでなく有害で、生産性を著しく下がる行為です。
仕事だけでなく日々の生活でも、似たようなことがあります。
自分のしたいこと(望みや目的や価値観)がわからず、他人の目ばかり気にしてしまうというものです。
いい車に乗り、きれいな家に住み、フォロワーを増やすことに夢中になっている人です。
2. 何でも屋になる
もうひとつのパターンは、リーダーの求心力がなくなり、各自がバラバラに動き出すことです。
会社の明確な方向性が見えないので、それぞれ目先の利益のために行動するようになります。
とはいっても悪気があるわけではありません。
個人レベルでは本当に重要な仕事をしているのかもしれません。
しかし各自が別々の方向に進んでいたら、チーム全体としてはどこにも辿り着けません。
同じことは仕事以外にも当てはまります。
あまりに多くのことに少しずつ手を出していたら、本質的なゴールには辿り着けません。
努力の方向性がバラバラで、成果が足し算されないからです。
冒頭でもお伝えしましたが、『選ぶ力は自分だけのものであり、何者にも奪えないということを理解しなくてはならない』
上手に「ノー」と言う技術を身につける
急に決断に迫られたとき、その場で正しく本質を選ぶことは難しいものです。
自分にとって本当に重要なことを明確にしないかぎり、私たちは葛藤に対して無力なままなのです。
そして急な決断が難しい理由は、もう一つあります。
他人にどう思われるか、という不安です。
人は関係性に縛られた生き物です。
数千年前の狩猟採集時代には、仲間とのつながりが生死を分けました。
周囲の期待に応えなければ、生き延びることはできませんでした。
同調の必要性が弱まった現代でも、仲間に嫌われたくないとうい気持ちは私たちの心の奥底に強く根づいています。
成果を出せない人は、周囲の期待やプレッシャーに負けて、不本意なイエスを言ってしまいます。
一方、成果を出せる人は、そうした気分の良さが長続きしないことを知っています。
一瞬の満足の後でやってくるのは、深い後悔です。
自分を責めるのです。
もっと重要なことが犠牲になったことに気づき、ショックを受けます。
あらゆる依頼を断ろうと言っているのではありません。
本当に重要なことをやるために、本質的でない依頼を断るのです。
肝心なのは、絶対にやるべきこと以外の全てに対して、上手にノーと言うことです。
では、どうすれば上手に断ることができるでしょうか。
いくつかの方法をご紹介します。
- トレードオフに目を向ける
ここでイエスと言ったら、自分は何を失うでしょうか。
そのトレードオフに目を向ければ、中途半端なイエスは言えなくなります。
どんな判断をする時も機会コストを忘れてはいけません。
- どの仕事を後まわしにしますか?
上司からの依頼は断りづらいものです。
機嫌を損ねたら、どうなるかわからない。
それでも、無理な状況で仕事をひきうけてしまうと、結果はよけいに悪いことになります。
単にノーと言うのが難しければ、上司にトレードオフを意識させるのです。
たとえば、「はい、ではこの仕事を優先でやります。今抱えている仕事のうち、どれを後に回しましょうか?」
トレードオフを意識させることで、仕事の質を下げることも、機嫌を損ねることもありません。
- 肯定を使って否定する
喜んで引き受けるふりをして、実は断るという高度なテクニックです。
たとえば「どうぞ僕の車を使ってください。キーを置いておきますね。」
親切な言葉を使いながら、運転を引き受けないという意思をきっぱり表現するのです。
いくらかは力になりたいが、全面的に巻き込まれたくない場合にきわめて有効です。
最後に
断る力を身につけるということは、後悔なく
生きるということに繋がります。
本当に大切なことを見極めて、そこに最大限の時間とエネルギーを注げば、後悔の入り込むよちはなくなります。
自分の選択を心から誇りに思えるようになります。
豊かで意味のある人生を選ぶか、それとも苦痛と後悔に満ちた人生に甘んじるか。
人生の分かれ道に直面したら、自分にこう問いかけてください。
『本当に重要なのは何か?』
それ以外のことは、全部捨てていい。
引用参考文献:エッセンシャル思考 最少の時間で成果を最大にする
著者:グレッグ•マキューン
訳:高橋 璃子